仕上げ作業
前回、ドリルでの穴加工をしましたが、実際の篠笛の穴形状は
笛の長手方向に楕円になっています。前に記載した図面でも極力
私所有の篠笛を完コピーしようと正確な形状寸法を記してあります。
↓吹き口の楕円形状
押さえ穴はそのままでも可として、吹き口だけは、音程や吹き易さに影響
しますので、吹き口のみ楕円の形状に修正します。
吹き口は長手方向に12mmにします。ドリルでφ10に開けてあるので
両サイドに1mmずつヤスリで広げて10×12の楕円にしてやります。↓
↑ここでポイントがあります。
実際に笛を吹く場合の息が直接当たる吹き口部にアンダーカット(鋭角仕上げ)
を施します。上の写真はヤスリで少しずつ削ってアンダーカットを付けているところです。
これによって、音が出しやすくなります。
次にカシュー漆(油性漆塗料)を各穴部に塗布してやります。↓
これは本漆の代用品として一般的です。
カシュ -塗料の元、カシュ-樹脂は”カシュ-ナッツ”の殻から搾りだした油が原料です。
”カシュ -ナッツ”はカシュ-塗料の原料を含む殻に守られてカシュ-の樹に育つのです。
塗膜や性能も漆と ほとんど変わらず、光沢があり、高樹脂分のためふっくらとした肉持ち感が
あって、かぶれたりしないので安心して使用できます。
色の種類はいろいろありますがこの“えび茶”色が渋くて感じがいいです。
塗布には綿棒が最適です。塗料を綿棒に含ませ、穴に挿入して丁寧に
綿棒をぐるっと回転させ、はみ出さないように注意しながら塗布していきます。
穴の断面と面取り部に塗料をのせるイメージですね。
穴を塗装するだけでガラッと本物っぽくなります。
でも見栄えだけではなく、吹き口に関してはこのカシュー漆を塗ると塗らない
とでは音色に違いがでます。音に艶がでて、音抜けがよくなります。
塗料の乾燥には1日十分に時間をかけます。
さて、いよいよ完成です!!
音色から外観まで既製品と比べても遜色ないですよ!!
これまで、旋盤やフライス盤、ボール盤と使いましたが、これは近くに便利な
工作機械があったから使用したまでで、のこぎりやハンディー電ドルなんかで
十分同じクオリティーは出せます。作業工程は同じなので、挑戦してみて下さい。
ここにかっこいいシールとか貼ったり、オリジナルな塗装をしてもいいし、
遊び心いっぱいの自分だけの笛にして楽しんでみるのもいいと思います。
個人的には津軽塗りの唐塗りに挑戦したいんですよ。
その時にはまたレポートしたいと思います。
次回はこの塩ビ笛の製作で知り得た情報から考察したいと思います。
でゎでゎ To Be Continued !!